今回読んだのは、図書館の電子ブック貸し出しのウェブページに行ったその日に、「よく借りられている本」の順に並べて目についた本。

他の小説よりもページ数が少なめ、内容が軽そう、そんな不純な理由で選んだ本です。(^_^;)

Kevyesti kipsissä

Kevyesti kipsissä
著者:Veera Vaahtera
出版:Tammi  2016年
表紙デザイン:Laura Noponen
画像元:Kevyesti kipsissä (www.tammi.fi)


Lotta(ロッタ)は、人と時間を過ごすよりも本と過ごすことを好む女性です。何年か前にボーイフレンドと別れて以来、男っ気もない。

本を読みながら路上を歩いていた Lotta は、ある日交通事故に遭ってしまう。大事には至らなかったけれど、しばらくの間、片足ギプスに松葉杖、という生活を強いられます。

不運は重なるもので、上階の住人のおかげでアパートが水浸し。部屋が修復するまで、しばらく姉のもとに居候することになる。

…そんな風に物語が始まり、恋愛小説っぽく展開していきます。

*****

ユーモアがあって、いい意味で軽い本。疲れたときに、気分転換に読むのによさげです。

主人公の世界が私とはかけ離れているので(若者とおばさんの違いか?)、読んでいても感情移入をするということもなかったんですよ。それでなおさら、気軽で読みやすかったのかも。

ところで、この主人公の姉は、彼と一緒に暮らしています。そう、彼氏じゃなくて彼女。今どきの本にはそういうカップルがフツーに出てくるっていうのが、なんだかうれしい

"Kevyesti kipsissä"の意味

形容詞 kevyt 軽い の副詞形が kevyesti 軽く
kipsissä kipsi 石膏 の内格。

書名を直訳すれば「軽く石膏の中」?! でも、それじゃ何のことかわからないですよね。

骨折をした時などに、ギプスされるじゃないですか。そのギプスされた状態を kipsissä といいます。例えば、手(käsi)がギプスで固定されている状態は "käsi kipsissä" 。

一方で、例えば何かをしなければ・言わなければならない時に、緊張して固まって何もできなくなっている・言えなくなっているような状態のことなども、"kipsissä" を使って表現することがあります。

書名は、主人公の Lotta の脚のギプスのことだけでなく、おそらく、Lotta が恋愛関係をなかなか発展させることができない 、そのことも表しているんじゃないかな。

…というわけで、私にはこの書名をちゃんと日本語に訳すことができません。あしからず。

著者について

Veera Vaahtera(ヴェーラ・ヴァーハテラ)って、韻もそろっていて、すごく覚えやすい名前!…と思ったら、作者の本名ではなく、彼女のオルター・エゴ(意味はこちら→オルターエゴとは - Weblio辞書)としての作家名だとのこと。

Pauliina Vanhatalo(パウリーナ・ヴァンハタロ)というのが、彼女の本名。1979年生まれのフィンランド人の作家です。

本名でも小説を出版しているようですが、Veera Vaahtera という名前のほうは、読んで楽しくなるような、ユーモア・娯楽性のある、そんな小説の作家名として使われているらしい。

作家ご自身のホームページを見つけたのでリンクしておきます → Kirjailijan kaksoiselämää


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