新型コロナの影響で、フィンランドの図書館も4月中旬頃からずっと休館しています。でも、電子ブックはもちろん通常通り借りることができます。で、ちょっと久しぶりに借りた電子ブックです。

Kuin tuhka tuuleen

表紙

シェットランドの風景を思わせる表紙で、なかなか雰囲気あります。でもそこ(黒い丸の中)に
TV:STA TUTTU KOMISARIO JIMMY PEREZ(テレビでおなじみ ジミー・ペレス警部)
なんて書かれているのが違和感。日本だったら、帯なんかに書かれるようなことじゃないでしょうか?もっとも、こちらでは帯ってみかけないからなあ。


Kuin tuhka tuuleen
(原題:Thin air)
著者:Ann Cleeves
訳者:Annukka Kolehmainen
出版: Karisto , 2019年
(参考: Kuin tuhka tuuleen

「テレビでおなじみ」というのは、ペレス警部を主人公としたこれらの作品はドラマ化されているから。フィンランドでも放映されていました。私も結構好きで見てたんです。

ところで、本の表紙に書名より作者名が大きく書かれているというのはよくあるパターン。この本でもそうですね。この作者はフィンランドでもよく知られていて、作者名を見て本を手にする人が多いのを見込んでのことなのだろうと勝手に解釈しています。

内容

友人の結婚式のために、ロンドンからシェットランド北部の島、アンスト島にやってきた旧友たち。そのうちの一人 Eleanorが、結婚パーティーの終わったその夜遅くから行方不明に。友人の一人には、Eleanor から自殺を匂わせるメーセージが届きます。

その後 Eleanor の遺体は見つかりますが、どうも自殺ではなさそう。Eleanor は死ぬ前、1920年代に溺れ死んだ女の子の姿を海岸で見たと友人たちに語っていました。このことと Eleanor の死には何か関係があるのか?

ペレス警部は同僚らとともに事件の謎を追うことになります。

意外な犯人!

推理小説ではよくありますね。犯人がとっても意外な人だったってこと。この作品でもそうでした。もっとも、すぐに犯人が想像できてしまっては面白くないから、それって当然のこと?

謎が謎をよび、どうしても先が知りたくなって、ついつい読みふけってしまったのでした。

内容とは直接関係ないけれど、テレビドラマの影響ってこわいです。ドラマを見ているものだから、主人公たちのイメージがドラマでの演技者たちの容姿と重なってしまう。特に主人公のペレス警部。脳内で、どうしてもあの容姿に変換されてしまうんですよ。自分でもなんか笑えちゃいます。

"Kuin tuhka tuuleen"の意味

「灰が風に散るように」という意味だけれど、一般にこの語句は
kadota kuin tuhka tuuleen (灰が風に散るように消える)
 というように、”消える”という言葉とともに使われるみたい。

灰が風に吹かれて消え去るって、「跡形もなく消える」ってことですかね?感覚としては「雲散霧消」みたいなものなのかな。

Eleanor がある夜突然姿を消した…そこからこの書名?あるいは単に原題『Thin air』からの意訳かも。

日本語版は『空の幻像』という書名で出版されています。