日本ではもう、クリスマスの飾りはとっくに取り去られていることでしょうから、今更クリスマスの話題というもなんですが…

でも、フィンランドでは 26日もクリスマスの祝日。そして実は、フィンランドのクリスマス期間というのは、そのあともまだ続きます。
Hyvä Tuomas joulun tuopi, paha Nuutti pois sen viepi.
という言葉があるんだそうです。「いい Tuomas がクリスマスを持ってくる、悪い Nuutti がそれを持ち去る」というような意味です。Tuomas の日にクリスマスが始まり、Nuutti の日にクリスマスが終わるということを言ってます。

Tuomas の日(tuomaanpäivä)は 12月21日、Nuuttiの日(nuutinpäivä)は 1月13日です。

ですから、年末になってもさらには年が明けてからでも、クリスマスツリーが飾られているというのは、別に変なことではないんですよ。日本の感覚だと違和感ありますけどね。

ちなみに、クリスマスツリーは13日までに片付ける、というのが慣例です。


と、今頃クリスマスの話題を取り上げていることの言い訳はこのへんにして、本題…クリスマス、サンタクロース、クリスマスツリーの話に移りましょう。

クリスマス

クリスマスのことをフィンランド語では joulu(ヨウル)といいます。

スカンジナビアの古い言語からの借用語だそう。クリスマスの意のスウェーデン語 jul と同じ語源です。

ところで、フィンランド語には 祭り祝賀会の意の juhla という言葉があります。これは joulu よりもさらに古い借用語。でも juhla も joulu も、もとをたどれば同じ語源だそうな。

サンタクロース

フィンランド語では joulupukkijoulu + pukki オスのヤギ)。直訳すると「クリスマスヤギ」??????

フィンランドの古い習慣に、kekripukkikekri + pukki)とか nuutinpukkinuutin nuutti の属格 + pukki)というのがあります。

kekri は、日本の収穫祭とか秋祭りのようなもの、といえばいいのかな。その年の農作業がすべて終了した後の祭りで、クリスマスが浸透するまでは、一年の中でも大きな区切りになるものだったらしいです。

nuutti は前述した nuutinpäivä の nuutti です。

フィンランドでは、kekri 祭のとき、あるいは nuutinpäivä に、飲み物や食べ物をもらいながら家々を渡り歩くという慣習があったそう。毛皮を着たりお面や角をつけて、動物(pukki)の姿になって家々を訪問したそうなんです。

関係ないけど、なんかナマハゲを連想しません?


いずれにしても、kekri 祭のときの pukki は kekripukki で、nuutinpäivä のときの pukki は nuutinpukki です。

joulupukki の名称は、どうもその流れから来ているようですよ。joulupukki の仕事も姿も、フィンランドの昔からの pukki とは違いますけどね。

クリスマスツリー

クリスマスツリーのことを joulupuujoulu + puu )ということもあります。「クリスマスツリー」そのままの意味ですね。

でも、一般には joulukuusijoulu + kuusi トウヒ)という言葉が使われます。そしてその名の通り、フィンランドのクリスマスツリーには、たいていトウヒが使われています。


ところで、kuusi を日本語で「モミ」としていることがたびたびあります。日本では、クリスマスツリーというと真っ先に連想するのがモミの木だからでしょうか。「モミ」をフィンランド語にすると、 pihta という全く別な言葉になるのですが。


まあ、どちらも似たような木ではあります。トウヒもモミもマツ科ですし。でも、トウヒは Picea 属、モミは Abies 属です。

それに、モミの木はフィンランドではほとんど自生しないのですよ。だから、ここではあんまり身近な木ではありません。

一方で、kuusi はフィンランドの森林でも多く見ることができる木。フィンランド人にはとても身近です。

そんなことを考えると、 kuusi はやっぱり kuusi 以外ではあって欲しくないと思うのです。kuusi はあくまでトウヒであり、モミではあってほしくない。…こだわりすぎでしょうか?

モミ pihta(左)と トウヒ kuusi(右)