ときどきふとしたきっかけで、頭の中に曲が鳴り響き続けるっていうことありませんか?

私自身は、そんなことが時々あります。どんな曲が鳴り続けるのかっていうのは、まあいろいろです。日本の歌謡曲の時もあるし、クラシック音楽だったりするときも。時には、フィンランドに来てから知った曲なんかも鳴り響いたりします。

そんな一曲が頭の中から離れなかった日、図書館から借りてきた本です。

Myrskyluoto
著者:Anni Blomqvist
訳者:Björn-Christer Lindgren & Liisa Ryömä
出版:Gummerus  2010年

この本の出版年は2010年ですが、作品自体は新しいものではありません。1960~70年代に書かれた5部作の小説です。

最初は5冊が別々の本だったようです。でも今回借りていたこの本は、それらを1冊にまとめたもの…分厚いですわ。

今日は、本の中身については置いといて、頭で鳴り響いていた音楽が、なぜこの本と結びついたかということを書くことにします。

ラジオで耳にした音楽

もう、何年も前の話です。ラジオから流れてきた音楽に惚れました。一目惚れならぬ一耳惚れ?ですな。

とても気に入ったので、その時、曲名もしっかりラジオから聞き取っておきました。その曲名が Myrskyluodon Maija。

うちの夫は、音楽にはすごくうとい。でも、この曲のことを夫に話したら「知ってるよ」っていうんですよね。めずらしいこともあるもんだ、と思いました。でもよくよく話を聞いてみると、その音楽は、1970年代にフィンランドで放映された同名のドラマのテーマソングだったそう。だから知っていたんですね。

というか、このテーマソングは、おそらくドラマおく以上にフィンランド人の心をとらえたんじゃないかな。ドラマの放映から30年たった今でも、ラジオやテレビで耳にすることありますから。

ところで、フィンランドの公共放送Yleが運営している Elävä arkisto というWebサイトがあります。古い映像などが集められていて、なかなか興味深いサイトです。

その中に、作曲家 Lasse Mårtenson氏 ご自身による Myrskyluodon Maija のピアノ演奏があります。よかったら聴いてみてください。
(埋め込みOKだそうで embed コードがちゃんと用意されていました。さすがは公共放送、懐ひろい!)



1976年に放映されたテレビドラマ

Myrskyluodon Maija という名で知られている曲は、1976年にフィンランドで放映された Myrskyluodon Maija というドラマのテーマソング……

ならば、そのドラマを見たいと思うのが人情じゃないですか。

見ましたよ、図書館からビデオテープを借りて。だいぶ前の話ですね、DVD じゃなくてビデオテープでしたから。(今はもちろん DVD で借りることができます)

正直言うと、ちょっと期待外れでした。なんでそう思ったのかはよく分かりません。物語の展開? 役者? 演技?

とはいっても、ドラマの中の優しげな Janne(ヤンネ)には惚れましたわ

ドラマでの例のテーマソングです。映像は、主人公 Maija(マイヤ)とその夫 Janne がこれから住むことになる島 Myrskyluoto に向かっている場面です。



動画を見て気づいたかもしれません。これは、スウェーデン語でつくられたドラマです。Stormskärs Maja がもとのドラマ名。Myrskyluodon Maija はそのフィンランド語訳です。

フィンランドのドラマですが、舞台はオーランド諸島。そこに住む人たちの母語は、スウェーデン語です。

スウェーデン語はフィンランドの公用語のひとつですから、公共放送が最初からスウェーデン語のドラマを制作・放映するというのは、ごく自然な話。

ただ、公用語とはいっても、スウェーデン語ができないフィンランド人が多いというのも事実。それで、上の動画にもフィンランド語の字幕が付いています。(蛇足ですが、スウェーデン語で書かれた Yle のページ Stormskärs Maja | Arkivet | svenska.yle.fi にある動画は、字幕なしです。)

このドラマ、去年の夏にテレビで再放送されたらしい。でも、その時は全く気付かず、見逃してしまいました。

追記:現在、フィンランドの公共放送Yleのオンデマンドサイトで、このドラマを見ることができます。国外でも視聴可能らしいので、リンクしておきます。音声はスウェーデン語。字幕は、スウェーデン語とフィンランド語のみです。



ドラマの原作

ここまでの話で、音楽と図書館から借りた本の関係がもう分かったかも? そう、借りてきた本は、その日頭の中で鳴っていた音楽をテーマソングとしたドラマの原作なんです。

ドラマは、なんかすごく辛い場面がいっぱいありました。だから、あまり見たくない。でももしかすると、本であれば、ちょっと違う受け取り方ができるかもしれない。そう思って、読んでみることにしたのです。

"Myrskyluoto" の意味

書名の Myrskyluoto は、物語の舞台となる島の名前です。要するに地名ですから、この言葉の意味の話は意味がない???

でも、島の名前がまさにこの名前、ということにはやっぱり意味がありそうなので、説明しておきます。

これは、myrsky luoto という2つの単語からできています。

myrsky のこと、そして luoto …島は島でも、ほとんど木も生えないような小島のことです。

すなわち Myrskyluoto を無理やり訳せば、嵐島

そもそもこのフィンランド語自体、スウェーデン語 Stormskär からの訳のようです。

"Myrskyluodon Maija" の意味

ドラマ名の意味も見ておきましょう。

"Myrskyluodon"

Myrskyluoto の単数属格です。

"Maija"

フィンランドの女性の名前です。マイヤと読みます。スウェーデンの Maja に相当する名前のようですね。

"Myrskyluodon Maija"

直訳すると Myrskyluoto(嵐島)のマイヤでしょうか?
このドラマの舞台が Myrskyluoto、主人公はマイヤ……ひねりの全くない、単純明快なドラマ名?

本の内容についてはのちほど

この本の内容については、このあと5回に分けて記事にします。もと5冊分の本を一度に読んで記事にすると、次の更新がいつになるかわかったものではないので。

こんな厚い本、ちゃんと読めるんだろうか? と思ったけれど、いまのところそれなりに読み進んではいますよ。いつになったら読了出るのかは謎ですが。