再び図書館から借りた電子ブックです。

前回( 📕【推理小説】Kuin tuhka tuuleen:『空の幻像』フィンランド語版)に引き続き、アン・クレーヴスの作品。ただし今回は、シェットランド島シリーズではなく、ヴェラ・スタンホープシリーズです。

Vera ー Satamakatu

表紙

前回と同じように、この表紙にも
Vera
Tuttu TV-sarjasta(ヴェラ 連続テレビドラマでおなじみ)
なんてことが書かれています。ヴェラ・スタンホープ警部を主人公としたドラマが、フィンランドでも"Vera Stanhope tutkii(ヴェラ・スタンホープが捜査する)"という番組名で放映されていましたから。そして、表紙にはブレンダ・ブレッシンさんの演じるヴェラの姿。だから表紙を見れば「ああ、あの番組の原作ね」とすぐわかる。

Vera ー Satamakatu
(原題:Harbour Street)
著者:Ann Cleeves
訳者:Annukka Kolehmainen
出版: Karisto , 2015年
(参考: Vera ー Satamakatu | Karisto
同じ作者の他の本と同じように、この本の表紙でも著者名のほうが書名よりも大きいですね。作家名とかをあまり覚えられない私も、流石に彼女の名前は覚えました。

内容

地下鉄の車両で、老女 Margaret が殺害されているのが見つかります。たくさんの人が乗っていた車両だったのにもかかわらず、誰も何も気づかかった殺人事件。

Margaret は長年の間、Satamakatu(港通り)沿いに住んでいました。でも、彼女の過去についてはよくわかりません。

調査の糸口がまだつかめていない中、女性 Dee がアパートで殺害されます。Margaret は生前、社会から見放された Dee を親身に世話していたのでした。

Margaret の抱いていた秘密が明らかになっていくにつれ、事件の真相がだんだんとあばかれていきます。

根っからの悪人?母子家庭?

意外な人物が犯人でした。以前に読んだ彼女の作品でもそうだったので「意外」ということに対しては「やっぱりね」というところ。

ただ今回は、この犯人の設定についてちょっと引っかかったところはあります。

ネタバレになりますが…

犯人は男の子でした。これがまた、お金のためなら何でもするという、かなり悪い性癖のある子。Margaret はその性癖にも気づいており、それを直させようともしたのですが、どうやら無駄だったもよう。

それとはまた別に、調査の中で、40年前の青年のことが浮かび上がってきます。その青年もかなりの性悪でした。

40年前の青年と犯人であった男の子…両方知っていた者には、性悪なこの2人が重なっても見える。それぐらいに両者ともに性悪ってことなんでしょうが…

引っかかったのは、2人の他の共通点。ともに母子家庭。前者の母親はバーを切り盛り、後者の母親は旅館を切り盛り、ともにしっかり仕事をしながら女ひとりで子供を育てたわけです。でもって、息子が根っからの悪人だという…

もちろん親に対しての非難は全く出てきません。それに、小説はあくまで小説でしかない。それでもなんだか、母子家庭に対する古臭い偏見がどこかに隠れていそうな気がして引っかかったんです。考えすぎだとは思いつつ。