私がフィンランドむけて旅立った頃、フィン日辞典というものはありませんでした。

フィンランドに来たばかりの頃使っていたのは、フィン-英-フィン辞典。でも私、英語がとっても苦手。英語の語彙力もないために、フィン-英辞典で言葉の意味を調べて、英和辞典でさらに意味を確認するという手間をかけなければなりませんでした。

おかげで、かなり早い時期からフィン-フィン辞典を使うようになりました。今になって思えば、それはフィンランド語を覚えるうえでは、ラッキーでした。(おかげで今も英語は苦手…)


最初に使った辞書については、あとでまた記事にするとして、今回は、今使っている辞書の話です。


普段使っている辞書は、Kielitoimiston sanakirja という辞書です。これ、インターネット接続さえあれば使うことができるのですよ。オンライン辞書として、2014年から無料で公開されているので。ありがたいことです。

フィンランド語のオンライン辞書へ  Kielitoimiston sanakirja

辞書の内容

語彙数は約10万。現在フィンランドで使われている主要な語彙が集められています。

書籍バージョン

Kielitoimiston sanakirja は書籍版もあります。

私も持っています。オンライン辞書がまだなかった頃購入しました。

Kielitoimiston sanakirja
編著者:Eija-Riitta Grönros 他
出版:Kotimaisten kielten tutkimuskeskus, 2006年

ふだんはオンライン辞書を使うことのほうが多いのに、まだ何となく手放せません。紙の辞書をぱらぱらめくるのも好きなんですよね。

唯一不満なのは、3冊(A-K、L-R、S-Ö)で1部の辞書となっていること。辞書は1冊にまとまっていたほうが使いやすいと思うんですけどね。


オンライン辞書って便利

オンライン辞書は、書籍版にはない便利さがありますよね。

まず、単語の候補を示してくれます。



そして、活用も表示してくれます。



さらには、見出し語以外からも検索できる!


紙の辞書ではできないことですよ。デジタルの世界ってすごいです。

Kotimaisten kielten tutkimuskeskus と Kielitoimisto

この辞書は Kotimaisten kielten keskus 出版です。Kotimaisten kielten kuskus というのは「国語センター」のこと。国語の研究・管理・指導を行っているお役所です。

そして、Kielitoimisto はこのお役所の中の kielenhuolto-osasto(フィンランド語の管理・統制・指導などを担当している部署)の通称です。

"Kielitoimiston sanakirja"の意味

"Kielitoimiston"

Kielitoimisto の単数属格です。属格って日本語の助詞「~の」にあたります。だからこれは「Kielitoimisto の」という意味。もっと厳密に言えば、これは製作者を表す属格です。日本語でも、例えば「ノキア携帯電話」なんて言い方をしますよね。
(携帯電話と言えば”ノキア”って時代もあったのよ…あの頃のノキアの栄光はいずこに??)

Kielitoimisto については前項のとおり。でもここでは、"kielitoimisto" の意味そのものをみてみましょう。

kielitoimisto という言葉は kieli toimisto がくっついた言葉。すなわち、これら2つの複合語。

kieli というのは、言葉とか言語のこと。
toimisto 事務所とかオフィスのこと。

ということは、Kielitoimisto 言語事務所という意味。Kielitoimisto といわれる機関を知らなくても、それがどんなところなのか、言葉からだけでも想像できるわけです。

"sanakirja"

sanakirja の複合語です。

sana 言葉とか単語のこと。
kirja のことです。

単語の本って…そう sanakirja 辞書のこと。
すごく明快! だからフィンランド語って好きです

"Kielitoimiston sanakirja"

結局、この書名の意味は、言語事務所の辞書ということになりますね。
Kielitoimisto で編集された辞書なので、この書名なのでしょう。

辞書の選択に迷う必要なし

日本で国語辞書を購入しようと思えば、選択肢が多すぎて迷ってしまいます。広辞苑、大辞林、大辞泉…などなど。

でも、フィンランドでは迷う必要ないですよ。マイナー言語のメリット?