💬【訳の不可思議】酒代わりの スキンローション? 入浴剤?
酒代わりに飲んだ入浴剤?がもとで、ロシアで多数の死亡者が出た、ということが報道されていますね。
例えばこれは、朝日新聞デジタルの該当ニュースの見出し。
そして、NHK NEWS WEBで見つけた該当ニュースの見出し。
朝日新聞の見出しはは19日更新のもの、NHKのほうは20日更新のもの。死者の数が違うのはそのせいです。
さて、気になったのは、飲んだ製品はいったい何だったのかということ。それが「バヤーリシュニク」という製品の偽物で、この偽物にはメタノールが入っていた、というのまではいいのです。でも、その「バヤーリシュニク」が何なのか、というのは、ニュースによっていろいろなんですよ。
朝日新聞デジタルの見出しでは「化粧品」と書かれていますね。そして、その「化粧品」は「スキンローション」だということが、本文を読むとわかります。
NHKでは「入浴剤」です。
フィンランド語のニュースでは、5つ(12月22日に1つ追記)6つのバージョンを見つけました。
バリエーション豊富です。これら全部は、同じものを指しているはずなのですが。
20日に更新された Helsingin Sanomat の記事(Kymmeniä kuoli Irkutskissa juotuaan kylpyhajustetta)には、次のような説明がありました。
バヤーリシュニクという商品そのものは、ソ連時代からあったもののようです。そして、これをお風呂に入れると健康やお肌にいいとされているみたいですね。ということは、バヤーリシュニクは入浴剤だと受け取るのが妥当でしょうか。
おそらく、フィンランド人が考える「入浴剤」は、ある人にとってはオイルであり、ある人にとってはボディシャンプーのようなものであり、ある人にとってはパフュームのようなもの。そのことが、書き手の使った言葉に表れている?
でも問題は、読み手がどう受け取るかですよね。お酒の代わりとしての kylpyvaahto というのは、私にはとても違和感がありました。だって、kylpyvaahto ってシャンプーみたいな液体なんですよ。それで、他のウェブページにあるニュースも読んでみたわけです。そうしたら、思った以上にいろんなバージョンがあるじゃないですか!!!
少なくとも私の場合、例えば kylpyvaahto といわれて持つイメージと、vartalotuoksu といわれて持つイメージは全然違うんだけど。
もっとも、バヤーリシュニクが、バスオイルだろうがオーデコロンだろうがスキンローションだろうが、ニュースの主旨にはあまり影響のない話。だから、こんなことにこだわる必要なんてないでしょうね。
でも、ふと思ったんです。インターネット上のニュースには、読者に誤解を与えるような意訳やら誤訳やらはごまんとあるんじゃないかって。少なくとも、そう疑って読むに越したことはなさそう…
例えばこれは、朝日新聞デジタルの該当ニュースの見出し。
酒代わりに偽の化粧品飲み48人死亡 ロシア
(http://www.asahi.com/articles/ASJDM4T1BJDMUHBI00P.html)
そして、NHK NEWS WEBで見つけた該当ニュースの見出し。
ロシア 酒の代わりに入浴剤飲む 死者54人に
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161220/k10010813851000.html)
朝日新聞の見出しはは19日更新のもの、NHKのほうは20日更新のもの。死者の数が違うのはそのせいです。
さて、気になったのは、飲んだ製品はいったい何だったのかということ。それが「バヤーリシュニク」という製品の偽物で、この偽物にはメタノールが入っていた、というのまではいいのです。でも、その「バヤーリシュニク」が何なのか、というのは、ニュースによっていろいろなんですよ。
朝日新聞デジタルの見出しでは「化粧品」と書かれていますね。そして、その「化粧品」は「スキンローション」だということが、本文を読むとわかります。
NHKでは「入浴剤」です。
フィンランド語のニュースでは、
- kylpyöljy(kylpy 入浴・バス + öljy オイル)、つまりバスオイル。
- kylpyvaahto(kylpy + vaahto 泡)、つまりバスフォーム。
- kosmetiikkavalmiste(kosmetiikka 化粧品 + valmiste 製品)、つまり化粧品。
- vartalotuoksu(vartalo ボディ + tuoksu 香り)。香水? 一般に香水の意味で使われるのは hajuvesi(haju 匂い + vesi 水)という単語。フィンランドで vartalotuoksu として販売されている商品には、「香水の軽いバージョン」だと説明がありました。ということは、オーデコロンのようなものでしょうか?
- kylpyhajuste(kylpy + hajuste 香料)。直訳すれば、バスパフューム。
- kylpyneste(kylpy + neste 液体)、つまり入浴液。
バリエーション豊富です。これら全部は、同じものを指しているはずなのですが。
20日に更新された Helsingin Sanomat の記事(Kymmeniä kuoli Irkutskissa juotuaan kylpyhajustetta)には、次のような説明がありました。
BOJARYŠNIK-TUOTEMERKKI on peräisin jo neuvostoajalta ja sen lisäämistä kylpyveteen pidetään terveellisenä ja iholle hyödyllisenä.
バヤーリシュニクという商品そのものは、ソ連時代からあったもののようです。そして、これをお風呂に入れると健康やお肌にいいとされているみたいですね。ということは、バヤーリシュニクは入浴剤だと受け取るのが妥当でしょうか。
おそらく、フィンランド人が考える「入浴剤」は、ある人にとってはオイルであり、ある人にとってはボディシャンプーのようなものであり、ある人にとってはパフュームのようなもの。そのことが、書き手の使った言葉に表れている?
でも問題は、読み手がどう受け取るかですよね。お酒の代わりとしての kylpyvaahto というのは、私にはとても違和感がありました。だって、kylpyvaahto ってシャンプーみたいな液体なんですよ。それで、他のウェブページにあるニュースも読んでみたわけです。そうしたら、思った以上にいろんなバージョンがあるじゃないですか!!!
少なくとも私の場合、例えば kylpyvaahto といわれて持つイメージと、vartalotuoksu といわれて持つイメージは全然違うんだけど。
もっとも、バヤーリシュニクが、バスオイルだろうがオーデコロンだろうがスキンローションだろうが、ニュースの主旨にはあまり影響のない話。だから、こんなことにこだわる必要なんてないでしょうね。
でも、ふと思ったんです。インターネット上のニュースには、読者に誤解を与えるような意訳やら誤訳やらはごまんとあるんじゃないかって。少なくとも、そう疑って読むに越したことはなさそう…
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