平易言語(関連記事【フィン語】Selkosuomi ~平易フィンランド語~)で出版されているのは、文学(関連記事【ジュニア文学】KELLO TUHAT ~読書が苦手な子のための本~)だけではありません。他のジャンルの本が平易言語で出版されています。

そこで、文学以外の本を平易言語で読んでみることにしました。今回図書館でみつけてきたのはこの本です。

Valon ja värien maailma
FYSIIKKAA SELKOKIELELLÄ
著者:Seija Samela & Juha Samela
出版:Pieni Karhu  2010年

Valon ja värien maailma -Fysiikkaa selkokielellä-

本のテーマは、光と色。具体的なこと…例えば何で空は青いのか、とか、鏡の仕組みとか、なんでガラスの向こうが見えるのか、とか、…そんなこととも関連させながら光と色について解説している本です。

平易言語なので字数は少ない。その代わり写真が豊富です。解説している光の現象の具体例が、写真として載っているのです。上の表紙にある写真は、それらの一部。

中高時代の物理をしっかり覚えている人たちには、おそらく物足りない内容でしょう。でも、私はその頃の物理の中身なんて、全くといいほど覚えていません。そのせいかな? 内容は私にとっては新鮮で、面白かったですよ。

平易言語ですから、基本的に難しい語彙はありません。でも、普段は使わないような語彙もたまあに出てくるのですよ。その中の一部は、この本を読んでいる中で、あまりにも何度も出てきたので自然に覚えました。例えばfotoni と sironta。fotoni は英語の photon がフィンランド語化したものでしょう。日本語では光子ですね。sironta は、物理用語でいう「散乱」のことです。平易言語の本だからとばかにはできません。十分勉強になりますわ。


ところで、内容そのものとは直接かかわりのない話ですが…

「読者へ」と題する前書きに、この本のテーマに興味を持ってより深く知りたくなったら、物理の教科書を読むといい、と書かれています。そして、次の文が続きます。
Tietoa voi etsiä myös Internetistä.
Internetissä tosin on sellaistakin tietoa,
joka ei pidä paikkaansa.
Tiedot kannattaa aina tarkistaa useammasta lähteestä.  (p.3)
情報はインターネットで探すこともできる。でも、インターネット上には誤った情報もある。常に複数の情報源をつかって情報を確認したほうがいい。…そんな意味です。

これって何を読むにしてもすごく大事なことですよね。ほら、今年は偽ニュースも世界を駆け巡っていたじゃないですか。インターネット上の情報にはまずは疑いを持つべし、ぐらいに考えたほうがいいんじゃないかなあ。

そんなわけですから、このブログに書かれてることも、全部鵜呑みにしちゃだめですよ。

著者について

Seija Samela はフリーランスのレポーター、Juha Samela は物理学者です。

出版社のページをリンクしておきます。本や作者についてもう少し詳しく書かれています。

Valon ja värien maailma

"Valon ja värien maailma -fysiikkaa selkokielellä-" の意味

最後に書名の意味です。

Valon

valo の属格。この属格は maailma という言葉にかかっています。

ja

日本語の接続助詞のようなものです。

värien

väri の複数属格です。

maailma

世界の意。

Valon ja värien maailma

ここまでは、光と色の世界ということになりますね。

そして副題は…

fysiikkaa

fysiikka 物理学の単数分格。

selkokielellä 

selkokieli 平易言語の単数所格。

 fysiikkaa selkokielellä

すなわち副題は、物理学を平易言語で という意味です。