図書館からよく借りられている本のようだったので、読んでみました。図書館の電子ブックです。

Rikinkeltainen taivas

表紙で手前に描かれているのは、10代前半らしき少年。道の先の方を見ると、中東とか砂漠を連想させる風景。"rikinkeltainen"からの連想か?

書名『Rikinkeltainen taivas』よりも、作者名『Kjell Westö』のほうがずっと目立つ。ということはフィンランドではよく知られた作家。ただ、典型的なフィンランド系の名前じゃない。スウェーデン人系?

Rikinkeltainen taivas
著者:Kjell Westö
訳者:Laura Beck
出版: Otava , 2017年

…というところまでが、表紙を見て判断できたこと。



Alex が傷害事件にあったという知らせ。それをきっかけに、主人公(私)が Alex たちと初めて知り合った少年時代の夏から今までのことを淡々と語っていきます。

物語の始まりは1960年代。そのころ10代初めだった語り手。その後の学生時代、社会人としての毎日、恋愛関係… 

若い世代よりも中年世代に受けそうな本。ヘルシンキな界隈で育った人たちにとっては、特に懐かしく感じるところがあるんじゃないかな。

"Rikinkeltainen taivas"の意味

rikki 硫黄 のこと。keltainen 黄色rikkinkeltainen(rikki の属格 rikin + keltainen)で直訳すれば「硫黄の黄色」。もっと日本語的に言えば「硫黄色」。

taivas

つまり書名は「硫黄色の空」。

「硫黄色の空」ってどんな空かいまいちぴんと来ませんでした(最初に思い浮かんだのは黄砂の飛ぶ空。でもフィンランドには黄砂は来ない)。

結局、本の中で「硫黄色の空」と描写されていたのは、フィンランドの真夏の夜の空。

ヘルシンキ界隈は北極圏よりずっと南なので完全な白夜はならないけれど、真夏の頃の空は、太陽が沈んでも真っ暗になることはない。独特の明るさの残る夜の空の色、それが「硫黄色の空」。

あの空の色が何色かだなんて、今まで考えたこともなかったけれど、次の夏には意識して空を眺めてみたいと思います。私の目にも「硫黄色」に映るかな…

原作はスウェーデン語。書名は『Den svavelgula himlen』です。

著者について

Kjell Westö(1961年~)は、フィンランドの詩人・作家・ジャーナリスト。スウェーデン系フィンランド人。

今までに多くの賞を受賞しているようです。劇場化、映画化されている作品も。20ほどの言語に翻訳もされているとか。

ホームサイトがあったのでのぞいてみたら、なかなかの二枚目。サイトのトップページがあのスタイルなのは、そこにも理由があるのかな。