オーディオブックを聴きたい気分になって、なんとなく図書館から借りたのがこの本。

Vilpittömästi sinun


Vilpittömästi sinun
著者:Pekka Hiltunen
出版: WSOY , 2019年(オーディオブック)

リアはフィンランド人。今はフィンランドを離れて、ロンドンでグラフィックデザイナーの仕事をしている。

28歳の誕生日を祝って、職場の同僚たちとバーでひとときを過ごしていたリアは、そのバーでマリと知り合うことになる。マリもやはりフィンランド人だった。

リアとマリは親しくなり、マリの一風変わった仕事が、リアにも身近なものとなってくる。

リアは、少し前にロンドンで起こった殺人事件が頭を離れない。そこで、マリの力を借りて、その殺人事件の真相を知ろうとする。

一方マリは、自分のスタジオのメンバーたちと、危険な右翼政治家が政界で幅を利かすようになることを阻むための計画を錬るのだった。



本を借りるまで、この本の存在もこの本を書いた作者のことも知らなかった。だから期待もなく聴き始めたのだが、これが意外に面白い。特に中盤に入った後は、つい集中して聴き入ってしまったのだった。家事などをしながらも聴けるだろうからとオーディオブックを借りたはずだったのに。

事件を解決していくのって、刑事物とか探偵物が多いと思うけれど、この本での登場人物たちはそういうのとは一風違う。それがまた、意外で面白かったのかもしれない。

文章表現にも何か読み手をつかむ要素があるのだろう、きっと。あれだけ聴き入ってしまったのだから。

読後に調べてみたら、この作品はいくつかの賞を受賞していたのが判明。面白いと感じたのも当然だな。

"Vilpittömästi sinun"の意味

なんとなく日本語にしにくくて、Google先生のお力を借りたら「敬具」とでた。え??? あ、でもこれ、英訳(Sincerely yours)からの日本語訳?それなら納得。とはいうものの、このGoogle先生の日本語訳は使えない。

この作品は英訳もされている。


でもその書名も "Vilpittömästi sinun" の言葉そのものの訳としては使えない。英訳本の書名は『Cold Courage』。どう考えても、フィンランド語の書名からの直接の訳ではないので。

ということで、やっぱり直訳するしかなさそう。vilpittömästi心から とか 正直に の意味。sinunあなたの(もの)。だからこの書名は「心からあなたのもの」。

この書名がどのような意図からつけられているのか、残念ながら私にはわからない。リアとマリの友人関係を表しているのか、それとも他のなにかなのか…

著者について

Pekka Hiltunen(1966年生まれ)は、フィンランドのオウル市出身のジャーナリストであり作家。処女作がこの『Vilpittömästi sinun』(初版は2011年出版)。この作品で彼は、複数の賞を受賞している。

参考

出版社のこの本に関するページ。