数ある書籍の中から、どの本を選んで読むかというのは悩みの種で、ここしばらくは、図書館の電子書籍の中から、「今一番借りられている」順に本を借りていました。(関連記事 【実用書】KonMari -siivouksen elämänmullistava taika-:『人生がときめく片づけの魔法』フィンランド語版

でも、世の中にはほぼ星の数だけ?出版物があるわけだし、自分の好みを完全に無視すると、読書が楽しくなくなってしまう。で、本を選ぶ基準を、多少緩めることに。でも、基本は変えず、図書館の電子書籍からそれなりに借りられている本から選んでいます。ただ、少しだけ選択の幅を広げることに。

また、電子書籍よりも紙の本のほうが長時間読んでも疲れない。それで、紙の本を借りるのが可能な時にはそれを借りてきて読むことにしました。

ということで、この本は紙の本で読みました。分厚かった(612頁)ので読みごたえありましたわ。

Odininlapsi (Korpinkehät 1/3)
著者:Siri Pettersen
訳:Eeva-Liisa Nyqvist

出版:Jalava  2015年
画像元:https://kauppa.tietosanoma.fi/epages/tietosanoma.sf/fi_FI/?ObjectID=42727693

ジュニア文学とひとくくりにしてしまいましたが、ジャンルとしてはファンタジー。Korpinkehätという3部作の第1作目です。

Odininlapsi (Korpinkehät 1)

3部のシリーズ全体の名称が『Korpinkehät』。その中の一作目の書名が『Odininlapsi』です。

"Odininlapsi" と "Korpinkehät" の意味

Odininlapsi は、Odinin(Odin の単数属格)と lapsi(lapsi 子供) の複合語。ここでの Odin は、北欧神話の Odin がイメージされているっぽいです。本の中では、この言葉で「人間」を表しています。
ちなみに、原書名は『Odinsbarn』。ノルウェー語です。

Korpinkehät は、Korpin(korppi カラス の単数属格)と kehät(kehä 輪(状のもの)etc の複数主格)の複合語。とはいっても、具体的にそういうものを指しているのではありません。このシリーズの中で登場する Korpinkehät は、どうやら、現世界と多世界を結ぶ門の役割を果たしている場所のようです。
原作のノルウェー語では『Ravneringene』。

Odininlapsi・人間・腐れを持つ者…

Hirka は、尻尾がありません。本来なら、他の Yminmaa の人たちと同じように尻尾がある筈なのに。「小さいころにオオカミに尻尾を食いちぎられてしまったのだ」という父親の言葉をずっと信じていました。

15歳になった Hirka に、父親が真実を伝えます。Hirka は拾われたのだと。父親は育ての親であり、Hirka には生まれつき尻尾がなかったのだと。

Hirka は、Yminmaa の者ではなく、どこか別世界の者。Odininlapsi、つまり人間。異世界から Yminmaa に紛れ込んだ者。「腐れを持つ者」として、忌み嫌われ恐れられている者…

この物語の舞台は人間の世界ではないわけだけれど、とても人間的な世界が描かれている気もします。権力者たちが自分たちの富と権力にしがみついている姿、巧みな演技で人を味方にし自分の欲を満たそうとする者、群衆をコントロールするために仕立て上げられた神(もどき)…

北欧神話や伝説も土台になっているようです。が、私にはよく分かりません。同じ北欧と言っても、フィンランドの神話や伝説は、いわゆる北欧のそれとはちと違う…
フィンランドのものはある程度知っているけれど、北欧の神話・伝説は全くと言っていいほど知らないのです。

著者について

Siri Pettersen(1971年~)は、ノルウェーの作家、グラフィックデザイナー。彼女が育ったのはノルウェー北部、多くの鳥が舞うフィヨルノドの地。伝説もまだ生きている、そんな地域だそう。
参考ウェブページ Siri Pettersen – Wikipedia

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