📗【小説】Vadelmavenepakolainen:スウェーデン人になりたかったフィンランド人の物語
少し前に読んだ小説『Juurihoito』(関連記事 【小説】Juurihoito:父親を探す旅)がなかなか面白かったので、同じ作者(Miika Nousiainen)の処女作を読んでみました。
Jakso 10: Ruotsi-trauma ja tulevaisuus | Suomi on ruotsalainen
これは、"Suomi on ruotsalainen" という10回シリーズの番組の最終回。ちなみに、この本の作者も登場しています。
フィンランド人のスウェーデンに対する感情というのは、なんとも独特。スポーツでスウェーデンが負けると大喜びだし、スウェーデン人をコケにしたジョークはわんさかある。とはいっても、心底スウェーデンを嫌っているわけではない…
なかなかないと思います、こういう関係の国って。ある意味微笑ましい。
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Vadelmavenepakolainen
フィンランド人である Mikko Virtanen(ミッコ・ヴィルタネン *ミッコは男性名、ヴィルタネンはフィンランドで2番目に多い苗字)は、自分は間違った国に生まれ、間違った国籍を持ってしまったのだ、と考えています。彼は、自分がスウェーデン人であるべきだと思っている。スウェーデン人になることにあこがれ、スウェーデン人になろうと努力する日々を送っています。
スウェーデンをとにかく崇拝しきっていて、自宅にはスウェーデンを祀った祭壇?!も。そして、完璧なスウェーデン人になるための彼の行動は、どんどんエスカレートしていきます。
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Vadelmavenepakolainen 著者:Miika Nousiainen 出版:Otava 2011年(初版 2007年) 画像元:Vadelmavenepakolainen | Otava |
主人公の祭壇に祀られている人々?の一部がこの表紙にも登場しています。小さい写真だけれど分かります? 国王夫妻、オルフ・パルメ、ビョルン・ボルグ、長くつ下のピッピ、ABBA。うん、確かにみんな、スウェーデンを代表する人たち…
コメディなのだとは分かっていても、主人公の行動がエスカレートしていくのには、ちょっとついていけませんでした。だからいまいち楽しめなかった。コメディって難しい…
この作品は映画にもなって、今年の初めにテレビでも放映されたようです。私は見ていません。何しろその頃、この作品の存在すら知らなかった…
この作品は映画にもなって、今年の初めにテレビでも放映されたようです。私は見ていません。何しろその頃、この作品の存在すら知らなかった…
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さて、この本はおそらく、フィンランドとスウェーデンの事情をある程度知らないと面白くない。そして、下にリンクしたのは、その事情を理解するのに役に立つであろうページ。フィンランド国営放送Yleのオンデマンドサービスですが、ログインも必要ないし、この番組はフィンランド国外からでも視聴可能なはずです(スマホからはYleのアプリがないと視聴できないかも)。…とはいっても、フィンランド語の番組なので、見る人はかなり限定されると思いますが。
これは、"Suomi on ruotsalainen" という10回シリーズの番組の最終回。ちなみに、この本の作者も登場しています。
フィンランド人のスウェーデンに対する感情というのは、なんとも独特。スポーツでスウェーデンが負けると大喜びだし、スウェーデン人をコケにしたジョークはわんさかある。とはいっても、心底スウェーデンを嫌っているわけではない…
なかなかないと思います、こういう関係の国って。ある意味微笑ましい。
"Vadelmavenepakolainen"の意味
著者の造語と思われます。3つの単語の複合語です。
- vadelma ヨーロッパキイチゴ(ラズベリーの一種)
- vene ボート・小舟
- pakolainen 難民
とはいうものの、これらの単語(複合語)はあります。
- Vadelmavene (商品名?)スウェーデンで1928年から作られてきたというグミ菓子。ラズベリー色でボート形だからこの名前?
- venepakolainen ボートピープル(難民)
Vadelmavene が、主人公の憧れであるスウェーデンを、venepakolainen が主人公の心理を象徴しているのでしょうか?


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