紙の本もあるけれど、私が読んだのは電子ブック。いつものように図書館から借りました。

Maailmanloppu peruttu

表紙は著者の顔写真。天文学者だけれど、学問とは全然かかわりのない人たちにもそれなりに知られているみたい。なにしろ私でさえも知っていたのだから。

もっとお髭のなが~いおじさんだったように覚えています。あの立派なお髭はいつどこへ行っちゃったんだろう?!

Maaimanloppu peruttu:
Kootut kolumnit II
著者:Esko Valtaoja
出版:Ursa , 2018年

著者のコラムが集められた本。2014年の4月から2018年の初めにかけて新聞や雑誌に掲載されたコラムが、時系列にまとめられています。

話題は様々。彼は天文学者だし、この本は Ursa(Tähtitieteellinen yhdistys~天文学協会)によって出版されているぐらいだから、多少は天文学に関する話題も出てくるけれど。

それぞれのコラムは当然ひとつの独立したもの。それでも全体を読んでいく中で伝わってくることはあります。

たとえば著者が、大の本好きだということ。そして、人の成長のためには読書が非常に重要だと考えているらしいこと。

さらに、著者は現代や未来を楽天的にとらえているということ。戦争やらテロやらのニュースを耳にする今日ではあっても、長い目で見れば人々の生活はより良くなっています。さらなる科学技術の進歩は、人の生活をなおいっそう豊かにすると考えているらしい。

まあ、いわれてみれば確かに。飢餓だって伝染病だって戦争だって殺人だって、数十年前と比べれば、ずっと減っているって統計もあるみたい。

そういえば、テロで死ぬ人の数よりもずっと多いのが交通事故死で、さらに多いのが労働災害だってことも書いてあったな。だから、テロ防止のためにお金をかけるんじゃなくて、労働災害防止にお金をかけたほうが、多くの人の命が救えるだろうって。

視点を変えれば世の中の見え方も変わるもの。狭い視点からしか物事を見ることができない、あるいは、視点を変えることができないというのは、危ないことなのかもしれない。だから、本を読んだほうがいいってことなのでしょう。

著者 Esko Valtaoja(1951年生まれ)は天文学者。大学教授をつとめ、2015年9月に大学を定年退職。彼は、難しい科学の内容を一般人にもわかりやすく書いたり話したりしてくれるってことでも知られているようです。

"Maaimanloppu peruttu: Kootut kolumnit II"の意味

maailmanloppu maailma 世界 の単数属格 maailman  と loppu 終了 がくっついた言葉なので、世界滅亡 って感じの意味になるのかな。peruttu は、動詞 perua 中止する・撤回する の受動過去分詞。

つまり、「maailmanloppu peruttu」で、「世界滅亡は撤回された」という意味。おそらく書名ということで「Maailmanloppu on peruttu」の「on」が抜けているんだと思う。

次に副題の方。

kolumni は コラム のことで、ここでは複数主格。だからそれを装飾する kootut も複数主格。単数形だと koottu。これは動詞 koota 集める の受動過去分詞。最後のⅡはもちろん2のこと。

集められたコラム第2集、つまり「コラム集2」ということ。

いずれにしても「Maailmanloppu peruttu」という書名は、著者が前向きに未来を見ていることの現れなのだと思います。この言葉、コラムの題としては出てこなかったけれど、本文の中にはありました。