図書館から借りた電子ブック。地元図書館で今よく借りられているという電子ブックの中から借りたもの。

なじみのない作家だと思いつつ本の紹介文を読んでみたら、ヴェラ・スタンホープ シリーズの最新作だった!!

このシリーズ、テレビで見たことはありました。でも、その原作とかそれを書いた作者とか、今まで一度も意識したことなんかなかったわ…

Merilokki

Merilokki
著者:Ann Cleeves
訳者:Annukka Kolehmainen
出版: Karisto, 2018年

かつての刑事、今は囚人として刑務所での生活を余儀なくされている Brace が、Vera 警部に、とある死体のありかをほのめかします。半信半疑ながらも調査してみると、そこには Brace がほのめかした死体だけでなく、もうひとつの死体も。

20年も昔の遺体。ひとりはすぐに識別できたけれど、もうひとりの身元はなぞ。

調査をすすめていくなかで浮かび上がってきたのが、かつてあったレストラン『Merilokki』。

そんななか、ひとりの男性が殺される…

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この事件、いったい何がどうなっていてどう繋がっているのか、まったく予測できないまま読み進めました。さらには、Vera がいったいいつどこで事件の全容を理解したのかということすらも読み取れなかった…(-_-;)

でも、最後の数ページで Vera が事件の流れを淡々と語り、なぞは解けるわけです。

いずれにしても事件の背景・展開は、とっても意外。そうくるとは思わなかった…


ところで、シリーズの主人公 Vera のキャラクターがとってもいい!

大柄の中年女性。甘いものとか脂っこいものとか、平気でもしゃもしゃ食べる。服装はダサい…

本の中の Vera警部は、テレビドラマの Vera警部(ブレンダ・ブレッシンさん)よりも、より大きくてよりダサい感じ。テレビの Vera警部もいい雰囲気をかもしだしていて好きだけど、本の中の警部さんはすごくいい!!

さえない中年男性警部が主人公という刑事ものはたくさんあるけど、さえない中年女性警部が主人公って、あんまりない気がするのです。少なくとも、私はひとつも思い浮かびません。…こういう主人公がもっといてくれるといいのになあ。


フィンランド語版のこの本の出版社のページです。参考までに。

"Merilokki"の意味

merilokki オオカモメ のこと。  meri lokki カモメ(科の鳥一般)の複合語。

ただこの本の中での Merilokki は、オオカモメ自体のことではなく固有名詞。レストランの名称。

この本の原作は英語。書名は『The seagull』です。フィンランド語版の書名は、それをそのまま訳しているのでしょう。

著者について

Ann Cleeves(アン・クリーヴス 1954年~)は、イギリスの小説家。2006年に『Raven Black(日本版書名:大鴉の啼く冬)で、イギリスの文学賞のひとつ、ゴールド・ダガー賞を受賞しています。

彼女の作品である、シェットランド島シリーズは日本語訳もされているようです。(アン・クリーヴス|東京創元社 

最後に、彼女のホームページをリンクしておきます。