いつものように、図書館から借りた電子ブックです。

Everstinna

フィンランドの作家をあまり知らない人には、この表紙は分かりにくいと思いません? 少なくとも私は、著者名をすぐには読み取れなかった…。知らなかったんですよ、この作家。

いずれにしても、よく知られた著者の本じゃないと、こんな表紙にはできないだろうなあ…。逆に言うと、この著者はフィンランドではよく知られているということですね。
Everstinna
著者:Rosa Liksom
出版:Like, 2017年

ひとりの女性が、自分の人生を淡々と語る…そんな内容です。

20世紀の初めに生まれ、ラプア運動に傾倒し、戦時中はナチスを支持し、戦後は夫の暴力に心も体も傷つけられ、精神病院をへて、再びあらたな人生を踏み出し…

人から見れば波乱万丈の人生。でもそれが淡々と語られるのです。

この著者の作品群では、女性、権力、そして性が中心的なテーマとなっているそう。そういわれてみれば、確かにこの本もその通り。

私にとっては、今までに読んだことのないタイプの本で、とても新鮮でした。でも、読みにくかった~。方言で書かれていたもので。

"Everstinna"の意味

everstinna は、ここでは 大佐夫人 のこと。この本の主人公(語り手)は大佐と結婚。それで everstinna という敬称をもつことになるのです。

ちなみに、eversti 大佐。-nna がつくとその言葉が女性化?するようです。

蛇足ですが、似たようなつくりの言葉に keisarinna があります。everstinna よりも見聞きする機会はずっと多い言葉。

keisari 皇帝・天皇。で、keisarinna 女帝 とか 皇后 とかの意味になります。

著者について

Rosa Liksom (ロサ・リクソム。本名 Anni Ylävaara。1958年~)は、フィンランドの作家、そして画家。処女作は、短編集『Yhden yön pysäkki』(1985年)です。

『Hytti nro 6 』で2011年にフィンランディア賞を受賞したほか、その他にも多くの賞を得ています。また、2013年には Pro Finlandia -メダル(芸術家・作家を対象とした勲章)が与えられました。

《参考ウェブページ》
Everstinna | Like Kustannus
Rosa Liksom | Like Kustannus
Rosa Liksom – Wikipedia
ロサ・リクソム - Wikipedia