3部作の最終作。

1作目と2作目を読み終わった時点では、まだフィンランド語版が出版されていませんでした。スウェーデン語版はすでに図書館にあったけれど。

この本を予約したのはしばらく前。フィンランド語版が図書館に入るのを待っていた人たちは他にもたくさんいて、2桁の順番待ちのあと借りることができました。うちの地域の図書館では、今日(8月1日)もまだ、88名が順番を待っているもよう。

よかったわ、早いとこ予約しておいて。

Äkkisyvä

よく知られている著者の場合、著者名が書名よりもずっと目立つという、フィンランドの本によくあるパターンはいつものこと。この本の表紙も、3部作の他の2冊と同じように、著者名 "ARNE DAHL"が、書名よりもでかい!!
Äkkisyvä
著者: Arne Dahl
訳者: Kari Koski
出版:  Into Kustannus , 2019年
殺人容疑で指名手配されている元刑事の Sam Berger は、秘密警察の August Steen の捜査にに協力。Steen の計らいで、とある島に隠れ家を提供される。

Sam とともに誘拐事件や殺人事件を調査してきた Molly は、意識不明で入院中。

Steen の片腕として秘密警察で働きながら、警察組織を欺いてことが判明し逃亡中の Carsten。そして Carsten と Molly の関係。

Steen の計画。かつて Sam の元を去った妻と子供たちの今の生活。

…さまざまなつながりが徐々にあかされていく。




予測できない展開で進んでいくから、つい読みふける。知らない単語があろうがなんだろうが、とにかくストーリーを追いたくて先へ先へと読んでしまう。言語に慣れるためにはいい読書のパターンかもしれないけれど、きちんとした語彙力や読解力をつけるには、よくない読み方かもしれません。

とにかく展開の意外性が、先へ読む意欲をかきたててくれました。まあ、語彙が増えなくとも、とにかくスピードをつけて読む練習にはなったかな。

"Äkkisyvä"の意味

本の中でこの言葉が出てきた時には、文脈から「海溝」のことだと思ったけれど、はずれ。海溝を意味する言葉として syvänmeren hauta というのがちゃんとありました。そもそも、舞台となっているストックホルム近くの海に海溝なんてないし。

Kielitoimiston sanakirja によれば äkkisyvä の意味は、
äkkiä syvenevä.
つまり、急に深くなるところ。

原作はスウェーデン語『Mittvatten』。Google先生は「私の水」と訳していました。正しい訳なのかな? だとしたら、フィンランド語の書名は、スウェーデン語の書名からの直訳ではないですね。

以前に読んだ同じ著者の本

シリーズ第1作。

シリーズ第2作。