前回読んだ本の記事では( 📖【小説】Paarma:『馬あぶ』フィンランド語版)ではあまり感想を書かなかったけれど、実はあの本の内容はかなり重くてですね、読むのが気分的につらかったのです。

そんなわけで、そのあと図書館で借りたのは、心が重くなることは絶対にあり得そうにない、という本。漫画です。電子ブックでも貸し出されていたので、借りてみました。

Fingerporin liikennekirja

Fingerporin liikennekirja
著者:Pertti Jarla
出版:Arktinen Banaani, 2016年

Fingerpori は、フィンランドではおそらくよく知られている漫画のうちの一つ。Helsingin Sanomat をはじめとして、多くの新聞で連載されている漫画です。

この本は、その Fingerpori の中から、車や道路など、交通に関するものをテーマにしたストリップを集めたもの。

Fingerpori は「おやじギャグ」感が半端ない、そういうイメージを個人的に持っていますが、この本も相変わらずの Fingerpori でした。否定的な意味で「おやじギャグ」と言いたいわけではなくて、イメージ的におやじ感たっぷりなんです。で、面白いんですよ、確かに。

特に多いのは、言葉遊び、というのでしょうか。二通りに解釈ができる言葉を使って、意外な方の意味をオチに使う。

例えば、"vaihtaa ristiin"。タイヤの交換についての話の時にそう言われれば、タイヤの位置をローテーション(交差)させて交換するってことだって普通は解釈します。でも、文字通りタイヤを「十字架(risiti)」に交換する、という解釈も確かにできるんですね。で、この後者の意外な解釈が、漫画のオチになるのです。

それにしても、よくもこんなにアイデアが出てくるものです。さすがはプロ!!!


ちなみに、Helsingin Sanomat での Fingerpori 連載は、インターネット上でも見ることができます。⇒ Fingerpori - Helsingin Sanomat

"Fingerporin liikennekirja"の意味

それぞれの単語の意味です。
  • FingerporinFingerpori(漫画の舞台となっている空想上のフィンランドの市)の属格
  • liikennekirjaトラフィックブックliikenne 交通・運輸kirja
フィンランド語は複合語がほぼ自由に作れちゃうみたいです。liikennekirja なんて日本語にしにくい…。この書名が伝えたいのは要するに、車や道路など、交通に関するものをテーマにしたFingerporiストリップ集ですよ、ということなんだろうと思います。

著者について

Pertti Jarla(1971年~)は、フィンランドの漫画家、芸術家。Fingerpori の漫画で特によく知られています。

《参考ウェブページ》
Fingerporin liikennekirja, Pertti Jarla, Arktinen Banaani | Arktinen Banaani
Fingerpori – Wikipedia
Pertti Jarla – Wikipedia