図書館の電子ブックの中から見つけた本。

重いテーマの本のようだったから借りずにおこうかとも思いました。でも、ジュニア向けということに気づいたので借りた次第。。ジュニア向けなら文章自体も読みやすいだろうし、あまりにも残虐な描写はないだろうと考えたので。

Yksi kevät

表紙の背景になっているのは、一部破れて皺やシミのついた厚紙。その上に包帯とはさみ、さらには血痕… つらく痛々しい物語であろうということは、この表紙からもすでに想像できます。
Yksi kevät
著者:Laura Lähteenmäki
表紙:Laura Lyytinen
出版:WSOY, 2018年

Aada・Linda・Jenny・Katri・Bea の5人は、靴工場で働いているときに知り合った仲間たち。でも今は工場では働いていません。戦いで傷ついた人たちの看護をする役をかってでたのです。

とはいうものの、十代の5人には、傷の手当てや看護の知識はほとんどありません。彼女たちは、十分な治療を受けられないまま死ぬ若者たちを目にすることになります。

そして戦いが大詰めを迎えるころ、5人の少女のうち4人が、自らも銃を持つために警護団に入団することに。

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物語自体はフィクションですが、その時代背景は史実に基づいたもの。そして、この物語の主な舞台は、1918年のフィンランド、タンペレ。

フィンランドの歴史をある程度知っている人なら、この時代背景と舞台を聞けば、どんな話なのか見当はつくはず。

フィンランドの内戦、赤衛軍の敗北…

この本を借りるのに躊躇した理由はそれでした。戦争の話はつらいから。

実際、つらい話でした。でも、希望の見える結末だったのが救いです。対象読者を考えてのエンディングなのかもしれません。

フィンランド内戦から100年。今年は内戦をテーマとした本が数多く出版されているようです。

出版社による、この本の紹介ページをリンクしておきます。

出版社WSOYのサイトより  Yksi kevät 

"Yksi kevät"の意味

yksi 1(つの)kevät で「一つの春」。本の内容から、これが1918年の春をさしているのは明らか。

著者について

Laura Lähteenmäki (1973年~) は、フィンランドのユバスキュラに住む作家。主に、ジュニア向けの作品を書いているようです。

学歴は哲学修士、および国語/文学教師。作家としてだけでなく、出版マネージャーとしても活躍しています。

彼女についての解説のあるページ。ともにフィンランド語です。

出版社WSOYのサイトより  Laura Lähteenmäki - WSOY 

フィンランド語版Wikipediaより  Laura Lähteenmäki – Wikipedia