この本は、図書館の電子ブックを「今一番借りられている順」に並べたときに上位に来た本です。

というわけで、最初電子ブックで読み始めたけれど、返却日までに読み切れず…
結局最後は紙の本を借りて読みました。

ちなみに、わが界隈の図書館では、電子ブックの貸出期間は最長2週間。そのあと貸し出し中でさえなければ、再び借りることができます。今回はすぐに貸し出し中になってしまったので、借りれませんでしたけど。

紙の本のほうの貸出期間は4週間。だれも予約しなければ、貸出期間を3回延長することが可能。つまり、最長16週間借りられる! 懐大きいです!!

Syötäväksi kasvatetut: Miten ruokasi eli elämänsä

Syötäväksi kasvatetut:
 Miten ruokasi eli elämänsä 

著者:Elina Lappalainen
表紙:Timo Mänttäri
出版:Atena 2012年
画像元: Syötäväksi kasvatetut  

動物性食品がどのように生産されているのかというのを語っている本。特に動物たちがどういう一生を送るのか、というのに焦点があてられています。実際に畜産農家や堵殺場を訪れ、さらに、獣医や担当役所、食品加工メーカーなどからも取材。多角的な視点でまとめられています。

この本、何年か前に話題になってたような…と思ったら、2012年に、ノンフィクション・フィンランディア賞(Tieto-Finlandia-palkinto)を受賞した作品でした。

それにしてもこの表紙…天国?!で音楽を奏でている豚と鶏と牛?…ブラックユーモアに長けてます。

*****

採卵のために品種改良された鶏の雛は、生まれてすぐに雌雄が選別され、雄はそこで短い一生を終えるって知ってました?

家畜たちが、どんな環境で育つのか知ってますか?

肉用の雄豚は去勢されるって知ってました? それも多くが麻酔なしで。

ブロイラーや牛や豚が、どうやって堵殺されるか知ってますか?
料理のレシピやら、どこかのレストランのステーキやらに興味を持つことはあっても、料理の原料自体がいったいどのように生産されているのか、あまり意識することがない気がします。

現代は特にそうかも。都会に住んでいれば、畜産農家の生活を知る機会なんてなさそうだし。

そういえば日本にいたころ、子供たちに鶏を描かせたら4本足の鶏を描いた子もいた…なんて話を聞いたことがありました。20年以上前の話です。

4本足の鶏まではいかなくとも、乳牛の乳房の数や搾乳の頻度を知らない人は、大人でも多いかもしれませんね。

そんなふうに、家畜自体が遠いものになっているわけですから、その家畜が現在どのように生産されているかというのは、さらに未知の世界じゃないかと思うのですよね。

私自身、この本を読んで初めて知ったことがとにかくたくさんありました。採卵用の鶏の雄は無用であるとか、食卓に上がる肉は動物が堵殺場を経由してやってきたものなのだ、というのは、当然といえば当然の話なんですけどね、意識したことなんてなかったわけです。

ましてや、それらの動物たちがどんな環境で育つのかだなんて、特に考えたこともありませんでした。

この本、とってもお勧めです。フィンランド語でしか書かれていないのが玉に瑕。日本にもこんな本があるといいんですけどね。国によって法も違うので、日本での現状は、フィンランドのそれともまた違うでしょうし。

"Syötäväksi kasvatetut: Miten ruokasi eli elämänsä"の意味

単語を一つずつ見ていくと
  • syötäväksisyötävä 食用の の変格(syötävä syödä 食べる の受動現在分詞) 
  • kasvatetutkasvatettu 育てられた の複数形(kasvatettu kasvattaa 育てる の受動過去分詞)
  • mitenどうやってどのように
  • ruokasiruoka 食べ物 + 2人称所有語尾 -si
  • elielää  生きる の3人称単数過去
  • elämänsäelämä 人生生涯 + 3人称所有尾語 -nsä
文法用語etc. はちょっと自信ないです。間違ってたらごめんなさい。

何はともあれ、全体としては『食用として育てられた者たち~あなたの食べ物はどんな生涯を送ったか~』というような意味になりましょうか。

著者について

この本の著者 Elina Lappalainen(1984年~)は、フィンランド人の女性。レポーターであり、ノンフィクション作家でもあります。現在は、経済週刊誌の記者として活躍しているんだとか。

ホームページがあったのでリンクしておきます。フィンランド語ですが。
《参考》⇒  Elina Lappalainen 

また、この本と同じテーマで書かれたウェブページもあります。これもフィンランド語で書かれたページです。

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